夏の皮膚病あれこれ
汗疹(あせも)
あせもは、夏に特有な多量の汗が、汗を作る汗腺に貯まるために起こる皮膚病です。あせもの発疹は、水晶様汗疹、紅色汗疹、深在性汗疹の3種類に分けられています。水晶様汗疹は、高熱を出したときに寝ている背中などに見られる水滴を含んだあせもです。
紅色汗疹は、皮膚のやや深いところの汗腺に汗がたまって、汗腺を壊してしまうために炎症がおこり、紅い盛り上がったあせもになります。これが普通見るもので、額、背中、頚などの擦れる場所にできます。
深在性汗疹は、熱帯地方のあせもだそうです(詳細不明)。
また、夏はあせもにバイ菌が付いて化膿(汗腺膿瘍)し易いので注意が必要です。
あせもの治療は簡単です。子供を涼しい部屋に移し、汗をかいたときはシャワーや入浴(石鹸を使い、手でやさしく肌を洗う)をして、新しい下着に着替える。あせもローションを少しつけるのもいいでしょう。あせもは、予防が肝心です。
虫刺され
虫刺されも、春から夏にかけて多くなる皮膚病の一つです。蚊、ブヨ、チャドクガ、飼っているイヌやネコのダニやノミ、刺す生き物はたくさんいます。かゆみが強いために掻き過ぎて感染を起こし、とびひになりやすいので、見つけたら早めに治療することが重要です。
普通は、強めのステロイド軟膏を使います。ステロイドは恐いという印象がありますが、短期間の使用なのでそれほど神経質になる必要はありません。強めの軟膏で早くかゆみをとって、二次感染を防ぐようにします。かゆみが更に強い場合は、眠気の少ない抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤を内服してもよいでしょう。
予防は刺されないように注意することです。蜂の巣には近寄らない。植物は、むやみに素手でさわらない。イヌやネコは、いつもきれいに。また、お部屋のダニにも気を使いましょう。これで完璧です。
伝染性膿痂疹(とびひ)
とびひは、夏の皮膚病として最も多いものです。主に黄色ブドウ球菌が皮膚の傷や虫刺されを掻いた傷に感染して起こります。ときには溶血性連鎖球菌が付く場合もあります。前者の場合は水疱を伴い、後者の菌は、かさぶたの形をとるのが普通です。
特に猛暑が続く夏は、細菌の繁殖も速く短時間で発疹が拡がり、びっくりする事もあります。とびひの菌の毒素が血流を回って全身に拡がり、SSSS(ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群)といって全身の皮膚の皮がむけ、あたかもヤケドをしたような見るも無惨な状態になる場合もあります。油断大敵!
治療は、軟膏と内服薬です。中程度のステロイドの入った細菌を殺す軟膏を使うのが一般的です。ドクターによってはステロイドを含まない抗菌剤のみの軟膏を使う場合もあります。ステロイド入りはかゆみを止めるために有効で、治療中に掻くことで他の場所へうつるのを予防できます。内服薬は、有効な抗生物質を使いますが、菌によっては効果が弱い場合もあるので、数日間の反応を見てもう一剤加えたり、他の薬にかえたりします。
大事なことは、内服薬を決められた回数、とびひが消えるまできちんとのむことです。「もういいだろう。」と勝手に薬を止めて、再発したらやり直しです。