石川県の糖尿病の現状と対策

石川県健康福祉部健康推進課
1.はじめに
糖尿病は特別な人だけの病気ではありません。県内でも約15万人が糖尿病、または予備群とされています※1。放置すると合併症につながる可能性があり、誰にとっても身近で大切な健康課題です。
糖尿病は進行すると生活の質を大きく下げるだけでなく、医療費の増大にもつながります。個人の健康はもちろん県民全体の健康を守るためにも、糖尿病の予防・早期発見はとても重要です。
※1:NDBデータ(R4年度の特定健診情報 HbA1cが5.6以上の人数)
2.糖尿病とは?
糖尿病は「血糖値が高い状態が続く病気」です。初期には自覚症状が少ないため、気づかないうちに進行してしまうことがあります。
放置すると、以下のような合併症につながることがあります。
- 目の病気(失明の原因に)
- 腎臓の病気(人工透析が必要になることも)
- 心筋梗塞や脳卒中などの命を脅かす重篤な病気
3.県内の現状
石川県では、糖尿病で病院に通っている患者さん(外来患者数)は平成23年に一度増えましたが、その後は減少しています。糖尿病で入院する患者さんの数も、毎年少しずつ減っています。

また、糖尿病の合併症による糖尿病性腎症によって新たに人工透析を始める人の数は、長いあいだほぼ横ばいでしたが、令和3年には減少しました。
また、糖尿病性腎症で人工透析を受けている人の総数は、令和元年までは増えていましたが、その後は少しずつ減少する傾向にあります。
出典:糖尿病性腎症新規人工透析導入患者数→「わが国の慢性透析療法の現況」(日本透析医学会)
糖尿病性腎症に対する人工透析実施件数→「NDBオープンデータ」(厚生労働省)
4.県の取り組み
石川県では、糖尿病の治療を行う医療機関の情報をまとめてホームページに公開するなど、安心して治療が受けられる体制づくりを進めています。さらに、県医師会を中心に、関係する団体が集まって「石川県糖尿病対策推進会議」を設け、さまざまな取り組みを行っています。
また、平成29年3月には、県医師会や県保険者協議会と連携し、「いしかわ糖尿病性腎症プログラム」を作成しました。糖尿病は、薬による治療だけでは血糖値を十分にコントロールすることが難しく、食事や運動など日々の生活習慣の見直しもあわせて行うことが重要な病気です。そのため、患者さんが安心して生活習慣の改善と治療を続けられるよう行政や保険者、医療機関が連携し、このプログラムに基づいて、糖尿病による腎症の予防や重症化を防ぐための取り組みを進めています。
たとえば
- 県民フォーラム等の啓発活動による発症予防の促進
- 専門医療機関や合併症対応医療機関等への紹介・逆紹介するなどの医療連携体制の構築
- 研修会や事例検討会などを通じた医療従事者、介護従事者等の人材の育成
5.県民の皆さまにできること
糖尿病は予防できます。毎日の生活の中で少しずつできることから始めましょう。
たとえば
- 毎年の健診を欠かさない(治療中の方も健診の対象となります)
- 毎日の運動習慣(筋トレ、エレベーターではなく階段を使う、歩幅を広くし速く歩くなど)
- 食生活の改善(腹八分目、砂糖が入った飲み物は控える、間食や夜食を控えるなど)
まずは「無理なく続けられること」から始めることが大切です。