会長挨拶

会長挨拶

会長 松葉 明

 昨年は、冒頭より新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に翻弄された1年でした。令和元年12月に中国の武漢で最初の患者発生が発表されて以来、瞬く間に全世界にパンデミックが拡がりました。日本ではわずか1か月後の令和2年1月に最初の感染者が、2月には、クルーズ船内でクラスター感染が報告され、4月に第1波、8月に第2波、12月には過去最大級の第3波を迎えました。この間、様々な分野からの情報や通達が行われ、同年4月に東京都をはじめ大都市中心に発令された緊急事態宣言が、その後全国に拡大され、社会に大きな不安と衝撃とともに経済界にも深刻な影響を与えました。医療界には、感染防止の為のマニュアルや、発熱患者に対するフローチャートなど矢継ぎ早に出され、年度後半には、COVID-19の行政検査医療機関の集合契約や発熱者等診療・検査医療機関としての登録等が行われ、HER-SYS、G-MIS等、かかりつけ医もその対応に追われました。そして、当初より、重点病院や協力病院として感染患者の治療にに対応してきた医療機関には、人的、物理的、経営的に大きな負担を強いられました。石川県内では、比較的早期にホテルでの感染者宿泊療養施設(青空ハウス)が設置され、当医師会からも会員が出向していただき、自宅復帰までの病棟の負担軽減に寄与しました。又、5月には、各医療機関でのPCR検査を補う形で、「いしかわPCR検体採取センター」が開設され、検査の集約化、効率化が図られました。
 当医師会では、第1波を迎えた4月下旬に「白山野々市新型コロナウイルス対策委員会」を開催し、石川中央保健センターをはじめとした行政、関係機関との情報交換を行い、今後の対策を協議しました。これまでに、白山市や野々市市および各種団体から、様々なPPEや消毒用アルコールの提供を頂き、会員に配布することが出来、関係各位に紙面を借りて御礼申し上げたいと思います。その恩恵と各医療機関の感染防止対策の徹底もあり、当初、実施が危ぶまれていた市民健診、がん検診など、開始月の変更があったものの、無事終了することが出来ました。特に、PPEフル装備が必要な胃癌内視鏡検診受託医療機関には、両市の補助も受け、フェイスシールドやガウンの配布をさせていただきました。令和2年度は、当医師会関連の研修会、講演会、懇談会、会議、イベント等の多くが中止に追いやられ、断腸の思いでおりましたが、後半には、web 形式での開催も活発に行われるようになり、コロナ禍の中、新たな展開を感じさせられました。この原稿を纏めている令和3年1月現在も、未だに昨年末からの第3波が猛威を奮っており、首都圏を中心に、第2回目の緊急事態宣言が発出されました。1年延期されたこの夏の東京オリンピックの開催も危ぶまれています。しかし、本年3月より、いよいよCOVID-19ワクチン接種が本格的に始まります。その効果に期待し、来年は、withからwithout coronaの社会へ変貌することを願い、巻頭挨拶とさせていただきます。