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糖尿病と歯の話

糖尿病と歯の話

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石川県歯科医師会 理事
竹中 望
 これまでの研究で、糖尿病患者には歯周病が多く、また糖尿病が歯周病を悪化させる可能性が多くの報告で明らかになってきました。一方、最近では、歯周病は局所の感染症にとどまらず、軽微な慢性炎症として全身に様々な悪影響を及ぼし、糖尿病を悪化させるということも分かってきました。
 さらに、歯周病で歯を失うことにより、食形態にも影響が出ます。歯の喪失により咀嚼力が低下し、軟らかい食品に偏ることで栄養摂取バランスの悪化へとつながり、結果として食後高血糖を起こしやすくなることが分かっています。
 糖尿病患者の組織は感染に弱く、傷口の治りも遅いため、歯周病が悪化しやすく、治療をしても治りにくくなっています。
 そして、意外と知られていないのですが、高血糖になると歯肉溝(歯と歯ぐきの境目にある隙間)内の糖分濃度が上昇、それが細菌のエネルギー源となります。さらには全身の脱水症状から起こる口腔内乾燥により唾液の自浄作用が低下し、口腔内細菌の繁殖を促進します。よって、歯周病だけでなく虫歯にもなりやすくなってしまいます。
 以上、糖尿病と歯周病、歯の喪失は相互に影響し合っていることがお分かりいただけたかと思います。
 歯周病は、軽度なものも含めば40歳以上の国民の8割が罹患している国民病です。そして、初期では全くといっていいほど症状がなく、はれたり、痛くて噛めないという症状が出て歯医者に行ったときには、かなり重症化しているという厄介な性質の病気です。早期発見、早期治療のためにも定期的にかかりつけの歯科医院に通院されることをお勧めします。

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